「TPR」と「TPRS」:言語を効率的に身につける2つのテクニック

私は語学講師であり語学学習者。西洋と日本の両方の生徒と取り組んできました。この経験は、新しい言語を話す学習となると、何が役立ち、何がそうでないかという幅広い考え方を私に与えてくれました。


役立つこと、そうでないこと

 

ほとんどの語学クラスは、まだまだ文法学習中心。生徒は言語についての事実を学び、言語をどのように話すかということに関する洗練されたルールを学び、そしてただ数学のクラスで数学のルールを用いて行うように習ったことを使ってみようとするよね。

残念ながら、これは我々が母国語を習得した時に脳が行った方法ではない。子供の時には、両親や家族、周りの環境との相互作用の副産物として話し方を身につける。誰にも過去形の作り方や助詞の使い方をはっきりと教えてくれなかったよね。母国語は使って身につけたよね。

 

赤ちゃんはコミュニケーションしながら話し方を身につける

 

ほとんどの国の子供は小学校から母国語の文法概念を教わる。でもこれは小さい頃からすでに流暢に話せる言語の意識的な解析なだけで、もちろん話し方を身につける方法ではない。

逆の場合もその通り。あるの言語の文法と音声ルールを意識した学習と解析は、必ずしもその言語の流暢さにつながるわけではない。言語学者として、私は大学の目的のためだけに勉強した一部の言語の構造をよく理解している。そのひとつが西アフリカの言語であるプラール語。プラール語の文法・語形論・音声学・語彙を解析したにもかかわらず、私はプラール語を流暢に話せるとは言えないし、本当に流暢になれるのか、なりたいのか、必要があるのかも疑わしい。

再開して、シンプルにしよう:

  1. 文法規則や語彙を意識して勉強することから、母国語の話し方を身につける人はいない
  2. 言語の文法学習は流暢さには必ずしもつながらない

大きな質問:それなら効果的に外国語を身につける方法は?

 

新しい言語の習得は、ダンスやスポーツ、料理などの新しい能力を習得するようなもの。皆が知っている通り、どんな新しい取り組みでの成功も興味ややる気、どれだけ「はまる」かによって大きく決定される。自分の空間にいたら誰もできない。

でも、適切な環境にいることも必要。これは特に言語では本当のこと。日本人はみんな日本人の学校の一般的な語学クラスに慣れ過ぎている。ドリルや練習問題の正しい答えを見つけ出すことだけが生徒の目標で、すべてがすごくストレスのある状況になる。どうりで日本人生徒がこんなクラスの成果に満足しないわけだ。

 

正解か?不正解か?困るよ!

 

影響力のある言語学者が指摘している通り、言語習得は言語を用いた有意義な相互作用を利用によってストレスのない環境でこそ可能になる。

これは、TPR(全身反応教授法)やTPRS(物語を話して読むことで外国語を教える教授法)などのテクニックが有用であるということ。60年代から80年代にかけて米国で開発されたTPRとTPRSはそれ以来非従来型のクラスで生徒数をどんどん増やし、身体的なタスクや物語を語るなど言語を用いた相互作用の副産物として外国語を吸収させている。

TPRやTPRSについて多数書かれているが、主に英語のこと。その裏にあるセオリー、コンセプト、研究は広範なトピックで、細部について話し合うにはもっとスペースや時間が必要である。

ここでは、この2つのテクニックがどのように働くかを簡単ながらもしっかりと説明したいと思う。


TPR

 

TPRという名は「全身反応教授法」を表している。アメリカの心理学者ジェームス・J・アッシャーが開発したテクニック。

TPRクラスは、いつもすごく面白くて、すごくシンプルなコンセプトに基づいている。簡単に言えば、3つの手順に省略される:

  1. 生徒がまず指示される。
  2. それから講師が指示を実行するのを見る
  3. 最後に同じ指示を受け取って、それに応じて実行する

このように、言語は実際に本物のタスクを実行すために使用される。

例を挙げよう。講師が最初に指示を紹介する。例えば「立って!」。その後に、生徒が言ったことの意味を生徒に示すために講師が立つ。最後に、講師は実際に立ち上がる生徒に対して新しい指示をする。

 

外国人向けの日本語TPRレッスンのスクリプト

 

新しい指示は、まず単体またはとても小さなセットで使用。これは、いつでも生徒が音声と新しい言葉の意味に慣れるために必要なものを絶えず与える。プレッシャーや不安がクラスに入り込まないことを一番大事なことにしている。

レッスンが進むと、互いに組み合わせた指示となる。シンプルな文章がだんだん複雑になってその結果、あらゆる種類の語彙や構造が同じシンプルな方法で教えられる:講師が指示を示して、行って、生徒たちにさせること。

期待するよりもうんと早く、生徒が言われたことのすべての細部を理解するだけではなく、これまでに身につけた言語を使い始める。典型的なシナリオのひとつは役割の逆転。講師が生徒に言われたタスクを実行する。

TPRが学校で利用されると、教室が大きなステージになる。家具やあらゆる種類のものが小道具として使用され、生徒が言語を使って身につけながら、実質的にどんなタスクでも実行することができる。


TPRS

 

TPRSはTPRから進化したテクニック。名前は「物語を話して読むことで外国語を教える教授法」を表し、スペイン語のアメリカ人講師ブレーン・レイが作成したもの。

お分かりの通り、2つのテクニックの名前は似ているけれども、意味はまったく異なる。

TPRと違い、TPRSには生徒が動く必要はない。でもTPRと同じようにTPRSは生徒が目標とする言語を使いながら吸収することができる。それに、推測可能な通り、本手法を用いたクラスは、すごくおもしろくて興味深い。

TPRSでは、講師はとても特殊な方法で物語を語ることで、目標言語に生徒を触れさせる:

  1. 話は口頭で紹介され、一度にひとつの新しい文章がある
  2. それぞれの新しい文章では講師は、イメージやジェスチャーを用いて生徒が完全に意味を理解できるようにする
  3. 講師はすぐに生徒にたくさんの質問をする。聞いていることを確実に理解させること、そしておもしろく興味深い細部を付け加えて物語自体をカスタマイズするための両方を目指す。

主な着目点は、生徒に使用されている言語を理解させること。「正しい答えを見つける」と押しつけるのではない。むしろすごくリラックスした楽しい気分ですべてが始まる。

このように外国語は最も自然な方法で生徒の脳に入り込む。比較的のんびりとしたレッスンのペースの結果、ひたすら繰り返す(文章と質問)ほか、親しみやすい環境で生徒はまずは理解し、すぐに気づかぬうちに自然に答えることができるようになる。

できる限りすべての細部に至るまで物語が口頭で探求された後、生徒は「書く」バージョンを導入する。ここでも特殊テクニックが使用され、読み書きの両方が楽しいアクティビティの副産物として確実に吸収されるように利用される。

TPRSクラスがどのようなものかということをもっと知るためには、このビデオを観ることをお薦め。最初にロシア語に導入されたアメリカのクラスを紹介している。

 

 


私のレッスン

 

 

私は、日本人生徒の特殊なニーズと能力を念頭に置いて、TPRとTPRSをオンライン利用に合わせている。

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